東京型家
TOKYO TRACING HOUSE
背景
我々はコンテクスト(都市の文脈)の消失が切実な問題だと捉えています。
いまだ歴史が残っている東京の東部でも築地市場が無くしまうように、
どんどんと歴史や記憶は消失していきます。
我々は都市や建築が更新されることを否定するのではなく、
建築に時間的概念を持ち込むことで、建築を建てる瞬間の姿勢を問い直したいと考えています。
東京型家とは?
東京型家とは、建物の外周にコンクリートを打設して「建物の型を取る」というプロジェクトです。
それによって、あたらしく生まれてくる建物は、以前の記憶を持ったまま生まれてきます。
海外に比べ日本、特に東京の風景はスクラップアンドビルドによって形成されています。
コロコロと変わる都市の風景は、経済成長や流動性を高める一方で、
都市の歴史の積層性や、脈絡、物語を喪失させてしまっています。
我々はこの単純なスクラップアンドビルドを脱却し、都市に歴史の積層性をもたらすことで、
新しいものへの価値に勝る、新しい価値の創造を行いたいと考えています。
1.木造密集地域
東京では関東大震災や第二次世界大戦の被害が
少なかった地域に被災者が移り住み、高度成長期に
無秩序に建築物がつくられたことが木造住宅密集地域の生まれた原因とされています。
その“無秩序”に積み重ねられた場所であるからこそ、
地域独自の“歴史・思い”が色濃く積層されている
魅力的な場所であると考えます。
2.不燃化促進地域
東京には多くの木造密集地域があります。
それは防災上の弱点として建て替えや
更新が求められています。
都市の記憶を無視した、大規模再開発ではなく、
木密の不燃化の動きの中で、消えていくことが
約束された風景を保存しながら、
都市防災を解決する提案を行います。
3.東京ビエンナーレへ向けて
2020年東京ビエンナーレに本プロジェクトを出展します。
本年のビエンナーレは千代田区・中央区・文京区・台東区の
4区にまたがるエリアを中心に開催します。
古くなった木造家屋と新しい街が混在し、「用地買収」「防災計画」「道路拡幅計画」等で更新を余儀なくされている
場所があり、現在も「経済的な更新」が進められて
いる谷根千エリアの遊休地で展示することで、古い街並みが更新するということについて考える機会を作ります。
更新されつつある街や街の人々と対話し、
本当の課題・残したい記憶を共に拾い上げてくださる
敷地・家屋・お施主さまを探しています。
現在プロジェクトの実現に向けて、
以下の場所で空家や空地・建物解体、遊休地等の
様々な情報を募集しています。
お問い合わせ
2020年東京ビエンナーレに出展場所情報、空き家や解体予定の木密の建物情報など
些細な情報でも構いませんのでご連絡ください。
プロジェクトメンバー
セカイ + 一條真人、神永侑子、梅村陽一郎、村上奈津子は
「建築」を中心として集まったプロジェクトチームです。
作家性ではなく参加性を強く持ったプロジェクトとして、チームの門を開いています。
プロジェクトの初期段階から建築材料の専門家として
「ものつくり大学 大塚研究室」に協力いただき、実証実験を行っています。
これからもカメラマンや解体の専門家など様々な分野のメンバーが参加予定となっています。
アートをつくる。建築をつくる。など枠組を超え、
目標に共感したメンバー達による新しいプロジェクトチームの形が描かれています。